※2026年10月に内容を新しくしました。
「AIにイラストの仕事が奪われる」という話を、SNSやニュースで見かけない日はなくなりました。2026年4月に公開されたChatGPTの「Images 2.0」で、AIの絵は日本語の文字まできれいに入るようになり、仕事の現場でも使われる場面が一気に増えています。
私はアイソメトリックイラストを専門に、10年以上、企業のイラストを描いてきました。これまで900件を超える案件を手がけ、80社のクライアント企業様からご依頼をいただいています。
その立場から言うと、AIは「イラストレーターの敵」ではなく、うまく使えば仕事の質とスピードを上げてくれる道具です。この記事では、AIとどう役割を分けて付き合っていくかを、私なりの考えでまとめます。
AIが得意なこと
今のAIは、次のようなことがとても得意です。
- たたき台を一瞬で出す:「こんな雰囲気かな」というイメージを、すぐに形にできます
- たくさんの案を並べる:色や構図の候補を、短い時間でいくつも比べられます
- 一般的なモチーフを描く:どこにでもあるものなら、それらしい絵を安く早く作れます
そのため、SNSのアイコン、ちょっとした挿絵、販促のPOPなど、「安く・早く・それなりに」でいい絵は、AIで作られることが増えています。企業でも、量産する素材は社内でAIを使って作るところが増えてきました。
人がやったほうがいいこと
一方で、AIに任せきりにできないこともあります。
「何を描くか」を決めること
AIは、指示されたものを描くのは得意です。でも、「この業務の流れを1枚で分かるようにしたい」という段階では、まだ何を描けばいいかが決まっていません。
どの工程を見せて、どこを省くか。導入の前と後で、何が変わったことをいちばん伝えたいか。お客様の資料やお話をかみくだいて、伝わる構図を決めるところは、人の仕事として残っています。私の仕事でいちばん時間をかけているのも、実はこの部分です。
業界のルールや、細かい正しさを判断すること
たとえば病院のマーク。白地に赤い十字は、日本赤十字社などのマークとして保護されていて、一般の医療施設のイラストには使えません。専門的な設備や新しいサービスの画面なども、AIが間違えやすいところです。対外的に出す制作物ほど、こうした判断に責任を持てる人が必要です。
世界観をそろえて、あとから直せる形で仕上げること
Webサイト、パンフレット、採用資料と、いくつもの制作物で同じ世界観をそろえるには、全体を設計する人が必要です。また、色の変更や要素の差し替え、アニメーションへの展開など、納品後の修正に柔軟に対応できるデータに整えるのも、人の仕事です。
これからの、いちばんいい組み合わせ
私が考える理想の形は、AIの速さと、人の考える力を組み合わせることです。
- たたき台や案出しはAIで素早く
- 何を伝えるか、どう見せるかは人が決める
- 仕上げと品質の責任は人が持つ
発注する企業様の側でも、「量産する素材はAIで作り、伝えたいことの中心になる1枚だけをプロに頼む」という使い分けが広がっています。AIを使うか、使わないか、ではなく、どこをAIに任せて、どこを人に任せるかを決める時代になったのだと思います。
同じイラストレーターの方へ
この記事は、同業の方にもたくさん読んでいただいています。AIの進化に不安を感じている方も多いと思います。私も同じです。
ただ、AIを避けるより、道具として使いこなす側に回るほうが、できることは増えると感じています。絵を描く手間はAIが減らしてくれても、「何をどう見せるか」を考える部分は残ります。そこに価値を感じてもらえるように仕事をしていくことが、これからは大事なのではないでしょうか。
クライアント様へ
当事務所では、AIで加工や展開をされる前提のご依頼にも対応しています。著作権の譲渡や、AIを使った二次展開の範囲は、お見積もりの段階ではっきりさせたうえでお引き受けしています。
「AIで作ってみたけれど、伝わる形にならなかった」「どこまでAIで、どこからプロに頼めばいいか分からない」という段階のご相談も歓迎です。何をどう見せれば伝わるかを、一緒に考えるところからお手伝いします。
こんなご依頼を承っています
業務の流れ、サービスの仕組み、導入前と導入後の変化など、言葉で説明すると長くなる「目に見えないもの」を、一目で分かる1枚のアイソメトリックイラストにしています。
- サービス紹介・採用サイトのメインビジュアル
- 統合報告書・パンフレットの業務図解
- DX・省力化のビフォー/アフター図
「どう説明したらいいか分からない」段階のご相談も歓迎です。やり取りはすべてオンラインで完結し、全国からご依頼いただけます。進め方は制作についてをご覧ください。

